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生パスタは一体どのように作られているか、皆さんご存知でしょうか?ニューオークボの生パスタは五つの工程を経て完成しますが、どのようにしてニューオークボの生パスタが作られているのか、今回はニューオークボの工場内をご案内したいと思います。
記者「生パスタの工場を案内してくれるのは、営業企画課のT課長さん。とても気さくな方で、小麦に精通したプロフェッショナルです。今回はパスタの製造や小麦について詳しく教えてもらいます。」
さっそく白衣に着替え、入念な手洗いを済ませます。エアシャワーを浴びたのち、原料の混合エリアからスタートです。
T課長「こちらはパスタの生地となる原料を混ぜ合わせる混合エリアです。ニューオークボの生パスタは、どのパスタでも基本的な原料はデュラム小麦、塩、水と非常にシンプルです。」
記者「パスタの原料は全て同じなのでしょうか?そのほかの原料を入れることはありますか。」
T課長「基本的な原料は同じですが、ほうれん草を練り込んだパスタもあります。また卵白を入れたパスタもあります。卵白を入れることで茹で伸びを遅らせ、食感を維持する効果があるんです。オンラインショップで販売している商品の中では、」
Q:ニューオークボで使っている小麦は、デュラム小麦のセモリナ(粗挽き)ですが、1キロのデュラム小麦からどのくらいのセモリナ粉が取れるでしょうか?
①、300g ➁、500g ➂、700g
A:正解は➂の700gです。国や製粉会社によって基準が違うので一概に比較出来ませんが、ニューオークボで使っている小麦だと約70%、1kgあたり700gのセモリナが取れることになります。
T課長「機械の近くに混合工程担当の田中さんがいるので、原料の混合について詳しく聞いてみましょう。」
田中さん「ここでは原料を混ぜ合わせる作業をおこなっています。」
記者「粉、水、塩を混ぜる順番や混ぜる時間は決まっていますか?」
田中さん「はい。まず食塩は事前に生地を練る水に溶かしておきます。次に原料のデュラムセモリナをミキサーで攪拌しながら注水します。そして注水完了後に5分間の高速撹拌をおこなっています。」
記者「ニューオークボのパスタは、生パスタ、乾燥パスタにかかわらず、パスタにかかる熱を極力抑えていると聞きましたが、この工程ではどんなことに気をつけているのでしょうか。」
田中さん「原料を低温で保管することが大事です。また湿度を低く保つことにも気をつけています。湿度が上がると原料に悪影響を及ぼします。」
Q:ニューオークボでは1時間あたりどのくらいの量の生パスタを一気に作ることができるのでしょうか?
①、500食 ➁、1,000食 ➂、1,500食
A:➁、1,000食です。生パスタは賞味期間が短いので、基本的に飲食店やスーパーに出荷する分だけを作っていますが、出荷の増減に対応出来る様に、パスタを製造する機械が5台あります。
T課長「原料をしっかり混ぜ合わせた後、生地を熟成させるプロセスに入ります。ここでは混ぜ合わせた後に「そぼろ状」になった生地を常温かつ静止した状態で熟成させます。熟成の時間は、生地によって水となじむ速度(親水速度)が異なるので、常に一定ではありません。原料や加水量だけでなく、パスタの種類や生地の状態によっても熟成時間は変わります。」
記者「生パスタの「熟成」は本場のイタリアではあまりしないそうですが、ニューオークボで生地を熟成させている理由をお聞かせください。」
T課長「簡単に言うと、ニューオークボは「モチモチ感」の強いパスタを求めているからです。一方、イタリアではパスタに「硬さ」を求める傾向が強いので、熟成させる必要が無いという違いがあります。また現地で使われている製麺機は、生地作りから押し出し成型まで一気通貫して行う方式のため、生地を熟成させると原料の送り込みの段階で造粒(ダマになる)してしまい、押し出し機(プレス機)に入りにくくなってしまうということもあるようです。」
Q:乾燥パスタと生パスタで熟成方法に違いはあるのでしょうか?
A:基本的にはどちらも同じく生地での熟成を行っていますが、乾燥パスタの場合は手動式のため生パスタの機械とは違い原材料を連続して送り込むことが出来ません。押し出し1回分の練った原料を袋に小分けして包んで熟成させています。
記者「パスタの成形には「押し出し式」と「切り出し式」の2種類があると聞きました。ニューオークボはどちらを採用しているのでしょうか。」
T課長「押し出し式」です。「切り出し式」は手延べうどんの包丁切りのように、生地を帯状にしてから切って成形する方式です。一方、ニューオークボが採用している「押し出し式」は、固い生地に強い圧力をかけてダイス(口金)から押し出して成形します。そのため、ダイス(口金)から出てくる瞬間に、反動でパスタが膨張します。押し出されたパスタは麺の外側に空気を含みながら麺の形になります。そのため、麺の外側は生地の密度が低くなるというのが押し出し式の特徴です。」
記者「密度が低いと、どんなメリットがありますか?またなぜニューオークボでは「押し出し式」にこだわっているのでしょうか?」
T課長「密度が低いと、噛みしめた時に小麦の風味やモチモチとした食感が感じやすくなります。「押し出し式」にこだわるのは、ニューオークボはデュラムセモリナ100%でパスタを作るので、生地が非常に硬く、帯状にしてカットするロール式の製麺機では生地を延ばすのが難しいという理由からです。イタリアでは押し出し式で製麺されたものでなければ「スパゲッティ」という表示ができないことも、ニューオークボが「押し出し式」にこだわっている理由ですね。」
記者「工場を見ていると、スパゲッティを押し出すダイスはたくさんの種類がありますね。ダイスを交換することで形の違うパスタができるのでしょうか?ダイスを製造する専門メーカーがあるのですか?」
T課長「そうです。原料は同じ場合でも、ダイスを変えるだけで色々な形のパスタになります。イタリアにはダイスの専門メーカーがありますが、日本には専門メーカーはありません。ニューオークボでは、イタリアと国内で製造したダイスを両方使用しています。ピース(出口)の材質と穴の直径や形状と長さを指定してオーダーしています。」
記者「ニューオークボは、どれくらいの種類・数のダイスを持っているのですか?」
T課長「生パスタは20種類、サイズ違いを入れると30種程度で、乾燥パスタについては15種類のダイスを保有しています。」
Q:1時間でどのくらいの長さの生パスタが出来上がるでしょうか?
A:標準的な生スパゲッティで、1時間あたり140kgの製麺量は約900食分できます。もし麺を一本につなげた場合は、37kmもの生パスタが出来上がります。
T課長「パスタを成形した後は、使いやすさ、衛生上の観点からすぐに個包装をしています。20~25℃に保たれた製造室で10~15℃のパスタを包装して、時間をかけて5℃までパスタの温度を下げていきます。結露の発生を防ぐためには冷やし過ぎも禁物です。冷凍パスタの場合は、急速凍結を行います。出荷するまで温度には細心の注意を払っています。」
記者「冷凍の場合、パスタを急速冷凍させるメリットは何でしょうか?」
T課長「時間をかけて冷凍すると、麺の中の水分の氷結晶が大きくなり、解凍時の離水(水分が出てくる)が多くなってしまうからです。」
記者「配送の際の温度(冷蔵・冷凍とも)は何度でしょうか?」
T課長「冷蔵品の場合は5℃です。流通段階から結露の発生を防ぐため、工場で品温を5℃に下げた後は、お客様のお手元に届くまで同じ温度を維持しています。また冷凍の場合はマイナス10℃に温度が保たれています。」
Q:包装された生パスタが温まってしまうとどうなるでしょうか?
A:冷蔵品でも冷凍品でも、温度差によって個包装の中で水分が蒸発します。結露が生じて麺がふやけたり、麺どうしがくっついてほぐれにくくなったりします。生パスタを常温で置いてしまった場合は、直ぐに調理するのがベストです。工場から届いたパスタをすぐに食べない場合は、常温下でしばらく置くと、袋の中で麺の水分が蒸散してしまい、その状態で冷蔵庫に戻すと麺の表面に結露が生じて、ふやけたり、ほぐれにくくなったりしてしまいます。そのため、麺を個包装から出して水分を個包装から逃し、パスタが乾かないようにラップで包み速やかに冷蔵庫で保存してください。個包装から出す際に一度ほぐすと、なお良いです。
生パスタがどうやって作られているのか少しでもお分かりいただけましたでしょうか?シンプルな原料を使い、手間と時間をかけて丁寧に作られた生パスタ。興味を持っていただいた方はぜひお試しください。
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