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日本には、フランス料理やイタリア料理などの西欧料理店が約3万店舗近く存在します。イタリア料理といえば、パスタやピザが馴染みの深い料理ですが、イタリアは1861年の統一まで小さな国に分かれており、地域ごとに食文化が発達してきました。パスタのメニューとして有名なカルボナーラはローマ、イカ墨パスタはヴェネツィアの郷土料理です。カルボナーラは日本では生クリームを使ってまろやかなクリームパスタにアレンジしていますが、イタリアでは生クリームを使わず卵とチーズで仕上げます。イタリアの郷土料理も日本人の味覚に合うようにアレンジしているのです。この傾向はパスタソース市場でも見られ、パスタソースの売上金額はミートソースを中心としたトマトパスタが約40%占め、次いでたらこソースを中心とした和風パスタ約20%を占めています。パスタはイタリアの料理というだけでなく、日本人に合わせて独自の進化を遂げながら日本の食文化に浸透してきたのです。今回は、日本人に人気の和風パスタについて雑学とレシピをご紹介します。
パスタは、幕末に伝わり明治初期に日本中へ広まりました。今では、マカロニはパスタの種類の一つと認識されていますが、日本ではパスタよりマカロニのほうが先に定着したため、スパゲッティもマカロニとして認識されていました。明治期に日本で初めて国産のマカロニが作られましたが、日本人の食卓に定着するのは昭和期以降です。特に、1955年からの市場拡大はめざましく、1955年の国産パスタの生産量は3,000tでしたが、1955年以降の機械化により急速に市場を拡大しました。1955年と1995年の40年を比較するとその市場は40倍まで増加し、特にロングパスタの需要が高まりました。(国産パスタの生産量は1965年ロングパスタがショートパスタの約1.3倍、2020年ロングパスタがショートパスタの約5倍)日本でパスタが大衆に広がったきっかけは、戦後アメリカ人が食べていた「スパゲッティのケチャップ炒め」を改良したことと言われています。「スパゲッティのケチャップ炒め」を改良して生まれたのが、日本人に愛されている「ナポリタン」です。
「ナポリタン」を機にパスタを食べる習慣が浸透しはじめ、1960年代以降の日本の高度経済成長に伴って、さらに全国の食卓へ広まっていきました。1953年壁の穴、1969年ハングリータイガー、1972年ハシヤなどのパスタ専門店が拡大していきました。壁の穴が、日本人の味覚に合った「たらこ」「あさり」を使った和風パスタを提供し始めたことで、日本のパスタは本場イタリアとは違う独自の進化を遂げていきました。さらに、壁の穴やハシヤ出身のシェフが独立して店舗をオープンしていくことにより、それぞれの店の系統を継いだパスタ専門店も増えていき、日本人にとってパスタはイタリア料理の中で最も身近な料理として定着していきました。
日本でパスタが広まっていく中で、パスタを作る国内メーカーの動きも盛んになっていきます。ニューオークボはマカロニの市場拡大に合わせて、日本人にあったパスタ作りをモットーに生産を拡大してきました。ニューオークボの前身である大久保マカロニは1933年にイタリアのパスタマシンを輸入してパスタ作りを始めます。(内部リンク:ニューオークボの歴史)その後、1955年に日本製粉や日清製粉といった大手メーカーがパスタの機械化生産を本格化したことにより、徐々に日本の小売店で乾燥パスタが流通するようになりました。バブル期の1980年後半、「イタ飯」ブームによってイタリア料理店やパスタ専門店は全国へと拡大していきます。
パスタの食べ方も、日本人にとって食べやすい形で定着をしていきました。イタリアでは、フォークだけでパスタを食べるのが一般的ですが、日本ではスプーンの上でパスタをフォークに巻く食べ方をしています。パスタはソースが飛び散りやすいこともあり、スプーンを使うことで、パスタが食べやすくなったことが定着のきっかけと言われています。この食べ方は、日本で進化した独自のマナーではなく、アメリカの食べ方が日本に伝わったと言われています。
イタリアではパスタは「プリモ・ピアット」というジャンルの料理で、パスタの後には肉や魚というメインディッシュが続きます。イタリアでは、食材の組み合わせにも慎重で、コースでメインディッシュに肉を頼むときは他の料理も肉だけを選択します。地域によっては、今でもこの組み合わせを徹底しているところも多く、パスタで肉と魚、魚とチーズを組み合わせた食べ方はあまりしません。
パスタは、食パンや白米と比較するとタンパク質と炭水化物の量が多いですが、具材やソースとの組み合わせによって栄養バランスが大きく変わります。パスタを食べるときは、1日の食事バランスを考えて、具材やソースを選んだり、副菜を付けたりすることで、理想的な栄養バランスを整えることができます。
1日に摂取するカロリーのうち、理想バランスはタンパク質 13~20%、脂質 20~30%、炭水化物 50~65%と言われています。1日に2000kcalを摂取する場合、重量換算するとタンパク質15%(75g)、脂質25%(55g)、炭水化物69%(300g)が理想となります。
・パスタ(乾):タンパク質 12.2g、炭水化物 73.9g、脂質 1.9g、食物繊維 2.7g
・白米:タンパク質 3.5g、炭水化物 36.1g、脂質0.3g、食物繊維 0.3g
・食パン:タンパク質 9.3g、炭水化物 46.7g、脂質 4.4g、食物繊維 2.3g
【参考】文部科学省:「日本食品標準成分表」
和食はタンパク質、脂質、炭水化物の栄養バランスが理想的です。食事全体のうち炭水化物が50~65%、脂質20~30%、タンパク質13~20%が理想とされています。1965年の日本では、栄養バランスのうち炭水化物が突出していましたが、1980年には3つの栄養バランスが整い、理想の三角形になりました。ご飯、汁、おかず、漬物で構成された日本の和食献立に肉や乳製品を加えたことで、バランスが整った食事になりました。しかし近年、欧米化が進んでいく中で、欧米と同じように2010年の日本では、脂質が突出しはじめて理想的な栄養バランスが崩れはじめています。
茹でる前のパスタは、白米や食パンと比較するとタンパク質と炭水化物が多く含まれています。しかし、ソースと具材の組み合わせによって、1皿あたりタンパク質は15~40g、炭水化物は75g~90g、脂質は2~50gまで増減します。特にタンパク質と脂質は組み合わせる具材とソースで、1日の栄養バランスが大きく変わります。タンパク質は野菜をメインにすることで抑えられますが、チーズや卵、肉を使うと多くなります。脂質はだしや魚介のエキスを使うと抑えられますが、チーズやバターを使うと多くなります。和食の特徴であるだしの「うまみ」を活用することで、動物性油脂の摂取を抑えると、より健康に配慮した和風パスタが出来ます。
日本人の味覚に合わせて進化してきた「和風パスタ」。その味付けや具材は、日本人にとってなじみが深いものが多く、栄養バランスを考えて具材を入れることで体にも優しいパスタが出来ます。今回はニューオークボでお勧めの和風パスタのレシピ3選をご紹介します。
イクラの赤としその緑が映えるパスタになります。見た目だけではなく、味も梅が効いていてさっぱりとしたおいしさが楽しめます。
一見普通の醬油ベースのパスタですが、スピガで提供している醤油味のパスタは一味違います!隠し味はこぶ茶です。こぶ茶を加えることで、コクが出て味に深みが増します。
かつお節が深みを生み出す、パスタには珍しいゴーヤとスパムを使った一品です。沖縄料理をベースにしたパスタは夏にぴったりな一皿です。
生パスタならではのもちもち感。2.0mmのロングパスタはニューオークボの代表商品。
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